第13章 時代を乗り越えてきたソニーの製造

組立工場の統合

 1990年代末になると、ソニーグループ全体として設備・施設の重複やモノづくり技術の片寄りが目立ってきていた。また、デジタル家電では、商品が陳腐化するスピードが格段に速まり、市場の変動は急激かつ大きくなった。メーカー各社は供給リードタイムの短縮やコストダウン、在庫の圧縮など、オペレーション高効率化の必要に迫られた。そこで2001年4月に設立されたのがソニーイーエムシーエス(株)である。
 EMCSとは、Engineering Manufacturing and Customer Services。セット組立系の11製造工場を統合し、量産設計から試作、資材調達、生産計画、生産技術、量産など、一連の設計・生産プロセスの統合的な運営を行うのがミッションである。それに加えて、在庫管理やカスタマーサービスなどの機能を持つ体制とした。
 設立時に掲げた課題である「工場間にあった技術のばらつきや運営上の温度差の解消」「重複した情報システムの整理」「インフラの統合運用」などは現在着実な成果を見せている。代表的な二つの成果をあげておこう。
 一つは、高密度実装基板の相互生産である。生産量が急増し、実装のキャパシティを超える場合、従来であれば往々にして外部に生産委託していた。現在は、その時期にキャパシティに余裕のある他の工場が引き受けるという相互生産を行っている。これによりキャッシュアウトを減らし、また各工場のリソースを有効に活用できる。相互生産が実現できたのは、工場や商品カテゴリーの枠を越えた実装生産支援システム「CF-1」の構築と、各工場の実装技術レベルの擦り合わせによるものである。
 もう一つは、一宮テック(愛知県)でのデジタルスチルカメラの生産に伴う高密度実装技術の習得だった。一宮テックはテレビの主力工場だが、ブラウン管テレビやセットトップボックスのような大きい据え置き型のAV機器にとっては必要性がなかった高密度表面実装が、薄型テレビには必要不可欠な技術となったのである。一宮テックは、デジタルスチルカメラの生産を通じて得た高密度表面実装などの技術を、薄型テレビの基板実装に活かしている。





2001年4月、セット組立系の工場などを統合し、ソニーイーエムシーエスが設立された。量産設計から試作、資材調達、生産計画、生産技術、量産など、一連の設計・生産プロセスの統合的な運営を行うとともに、在庫管理や修理、コールセンターなどの機能を併せ持つ。


記載されている内容は、2005年9月30日発行の冊子に準じています。

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